―M.Yさんは初めての実務だったそうですね。どんなことに苦労しましたか?
M.Y:あまりに知識がなかったことに苦労しましたね。会計システムの中には、よくわからない記述がいっぱいあって。SAP自体、研修は受けていましたが、やはり実務となると勝手が違うんです。ただ、このプロジェクトはすごく恵まれていたと思います。スキルの高い人ばかりで、わからないことや仕事の勘どころについて丁寧に教えてもらえたんです。そういう意味では仕事の基盤をつくってもらいました。いちばん覚えているのは、「ちゃんと考えて、ある程度の道筋を立ててから作業に入った方がいいよ」というY.Kさんの言葉です。
Y.K:素晴らしいこと言ってますね、当時の僕(笑)。実際、私自身もそれは大事にしています。ただやるのは誰でもできるじゃないですか。「何のためにやるのか? なぜ自分に振られたのか? そこを考えないと、ただの作業者になってしまう。それって面白くないよね」そういうことを話した気がします。
―会計業務の知識習得も難しい点かと思いますが、どのようにして身につけましたか?
Y.K:入社して最初に任されたのが、会計システムの運用保守でした。トラブルが起きたりエラーが起きたりしたときの対応です。サービスデスクみたいな部隊です。そこに4年弱くらいいて、1年の会計サイクルを4回繰り返したので、じっくり学ぶことができました。あとは簿記の勉強を自分でもしていました。
M.Y:もともと会計知識ゼロでした。内定後、簿記3級と情報処理技術者試験の教材をもらって勉強を始めました。入社時に簿記3級をとって、その後もプロジェクトに入りながら簿記の勉強をして、今は簿記2級を持っています。
Y.K:僕も去年、2級を取りました。
―お二人とも会計モジュールを中心に携わっているのはなぜですか?
M.Y:たとえばロジスティクスだと、管理の仕方は会社ごとに様々です。それに対して、会計ルールはどの企業でも共通。あるクライアントを通して学んだ知識や経験が、別のクライアントを担当したときにすぐ活かせます。その汎用性の高さに魅力を感じました。
Y.K:私はそこまで深く考えてなくて、簡単そうかなと思ったからです。ただ、やってみると難しかったですね(笑)。お客様先の経理部や情報システム部の方と打ち合わせするのですが、マニアックな専門用語が非常に多いことに驚きました。
―お客様の業務を理解するために、どんなことを意識していましたか?
M.Y:想像することです。実際に業務をするわけではないので、もちろんわからない部分もあります。でも、お客様の実際の業務に思いを馳せることで、近づくことはできます。
Y.K:ご要望をそのまま鵜呑みにせず、それがなぜ必要なのか、根っこの部分を深掘りすることを意識していました。「こうした方が楽だと思うから」というご要望があっても、実は必要ないケースだってあります。常に「なんで?」と思わないと、不必要なものを作ってしまいがち。要望の背景にある想いをくみ取って、実際に実現したいことをくみ取ることが大切です。